玄米酵素

傘がない 〜弊社代表・鹿内のメッセージ〜
2020年4月16日

弊社代表・鹿内のメッセージをご紹介します。皆さまの「心の栄養」になれば幸いです。

傘がない




行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ
君の町に行かなくちゃ 雨にぬれ

つめたい雨が今日は心に浸みる
君の事以外は考えられなくなる
それは いい事だろう?

テレビでは我が国の将来の問題を
誰かが深刻な顔をして しゃべってる
だけども問題は今日の雨 傘がない
(作詞・作曲 井上陽水 1972年)

前号を読んでいただいた方は、あれ?森進一さんの「傘になる」から、今度は「傘がない」?と驚かれたでしょうが、ご理解くださると思います。どうかお付き合いを…。

日本文学研究者のロバート・キャンベルさんが、今年、「井上陽水英訳詞集」を出されました。50曲の英訳と対談は、キャンベルさんの高い見識で、日本文学と対比させながら、陽水さんの詩を見つめており、とても面白い作品になっています。

こんなやりとりがあります。
「傘がない」のタイトルを、I've got no umbrella.と訳したところ、陽水さんに、「それは違う」と言われます。

「いいですか、傘は象徴なのです。『俺』の傘ではなく、人間、人類の『傘』なのです。傘は平和や優しさだったりする。そして、生きているうちにある色んなものから自分たちを守ってくれるものだから、誰かのものであってはならない。だからタイトルはNo Umbrella.でお願いします」

読書は読み手と作者との「対話」ともいわれます。言葉の意味や行間を探りながら、自分なりの解釈をして心に刻んでゆく。素晴らしい文学作品に触れることで、人間のさまざまな姿を、驚くほど広い行動の可能性を感じ取れるのですね。
明治大学の斎藤孝さんは、読む力とは「相手を思いやる力」のこと、読解力を磨くとは、人を思いやる心を育む自己形成の手段でもある、と言っています。
それこそ「傘」であると言ってもよいでしょうか。

再びキャンベルさんの本から引用します。
かのドナルド・キーンさんが若かりし日に、川端康成に尋ねました。

「先生の『雪国』を訳しているのですが、実はとても困っています。この文章の主語はどこに?この男女の会話は何を意味するのだろう。多くの部分で曖昧なのです」
その問いに「余白と言おうか、余情とでも言おうか、曖昧だからこそ、逆に表情を豊かに受け止める力が生まれる。その可能性を私は信じたいのです」

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。

『雪国』の冒頭の一節ですね。

夜の底が白くなった?

読書の秋です、一緒にこの「余情」の意味を、秋の夜長に語りあってみませんか。
井上陽水を聴きながら…..





株式会社玄米酵素 代表取締役社長 鹿内正孝

弊社情報誌『はい!元氣らいふ2019年11・12月号』より

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