毎日の食卓でみられる米、野菜、魚などの食材たち。
実は、食べられる部分を多く捨ててしまっているかもしれません。
無駄なく食材をおいしく活用すれば、食物の栄養が丸ごと取れて、節約もできて、ゴミも少なくなって、一石三鳥!
今回は「一物全体食」という考え方から、食物をまるごと食べるメリットや、毎日の台所でできる工夫などをご紹介します。
丸ごと食べよう!「一物全体食」
一物全体食(いちぶつぜんたいしょく)とは、
食物は全体でひとつの命、それを丸ごと余すところなくいただく、という考え方です。
野菜はできるだけ皮をむかず、葉や根も使う。魚は切り身よりもまるごとの小魚を食べる。米は白米よりも、精白しない玄米。
食物を丸ごといただくということは、当然ながらその食物が持つ栄養が全部取れるということです。
にんじんに含まれるβカロテンは、皮を含めた外側部分に多く含まれています。丸ごと食べる小魚は、骨まで食べられ、カルシウムなどのミネラルを多く取ることができます。
まるごと食物の栄養比較
大根の根と葉の栄養を比較すると、葉には根にはないβ-カロテンが含まれていたり、ビタミンCは約4.4倍、葉酸は約4.1倍、カルシウムは約10.8倍含まれます。
また玄米と白米(玄米から胚芽・表皮を取り除いたもの)の栄養を比較すると、玄米にはビタミンB1が約8.0倍、マグネシウムが約7.0倍、ナイアシンが約14.5倍も含まれます。
野菜はどこまで食べられる?
ブロッコリーの茎
ブロッコリーは捨てるところなく全部食べられます。ただし茎の根元に近い皮はかたいことが多いので、気になる場合は皮を剥いて使います。
大根の皮・葉
皮は炒め物やスープ、食感を生かしてきんぴらや漬物にするのもおすすめです。乾燥させれば切干し大根になります。葉はふりかけや味噌汁に入れたり、煮物や炒め物の彩りとして活躍してくれます。
しいたけの軸
生しいたけの軸は、根元の石づきだけ薄く切り除き、細切りやみじん切りに。スープに入れたり肉団子のたねに混ぜると、風味や食感がアップします。
きゃべつの芯
芯は葉よりも甘味成分を多く含んでいます。また歯ごたえと食感を料理にプラスすることができます。粗めに切って餃子の餡に加えたり、汁ものの具材やだしに使っても美味しいです。
根菜
にんじん、れんこん、生姜などは、よく洗って皮付きのまま料理に使えます。ごぼうも皮に風味があるので、たわしなどでしっかりこすって皮付きのまま使用します。
長ねぎ
長ねぎもまるごと全部食べられます。青い部分は細かく刻んで薬味にしたり、鮮やかな色を生かして料理に加えたり、煮込み料理の臭み消しとしても使うことができます。
ピーマンのワタ・種
ピーマンは唐辛子やシシトウのように、ヘタだけ外しておけば丸ごと食べられます。海外では丸ごとが一般的。苦味がありますが、火を通すことで和らぎます。
長芋の皮
長芋は皮まで美味しく食べられます。よく洗い、皮に付いているヒゲの部分をコンロでサッと火にかざして落とします。
たけのこの白い部分
たけのこの水煮によくみられる白い粉のようなものは「チロシン」というアミノ酸の一種。害はないので洗い流さずそのまま調理して大丈夫です。
とうもろこしの芯
芯はまだまだ胚芽が残っている状態なので、旨みや甘み成分が詰まっています。芯を入れて炊き込みご飯を作ったり、味噌汁やスープにいれると美味しいダシが出ます。
皮ごと食べると農薬が心配…という方は、無農薬・減農薬の野菜を選んだり、30秒くらい流水でしっかり洗ってからご使用ください。
食材をまるごと使い切る工夫
○野菜の皮や切れ端はベジブロス(野菜だし)に
玉ねぎの皮やパセリの茎、なすのへたなど、野菜の切れ端をまとめて煮出して作るスープ「ベジブロス」は、さまざまな料理で使える万能だしになります。製氷皿で冷凍しておくと便利です。
○調理法を工夫する
野菜のかたい部分などは、細かく刻んで火を通すことでやわらかく食べやすくなります。煮込んでスープにしたり、フードプロセッサーやミキサーを活用するのも一つの方法です。
○圧力鍋を活用する
圧力鍋を使えば、野菜はもちろん、少ししっかり目の骨のある魚でも丸ごと食べられるようになります。
命を丸ごといただきましょう
栄養素は生物の中で単独で働いていることは少なく、他の成分と協力して機能を果たしていることが多いため、一つの栄養素があったら、それと一緒に働く成分が近くにあります。それはビタミン、ミネラルの他にも、植物が持つ天然成分(ファイトケミカル)などもあります。今の科学ではまだ知られていない未知の成分かもしれません。食材をまるごと摂取するということは、それら未知の成分を取り入れることができます。
ヒトが必要な栄養成分は、分かってるもので約40種類ですが、
まだ分かっていない未知の成分が2,000種類以上あるといわれています。未知の成分は作り出すこともできないため、合成サプリメントや点滴などの栄養にも限界があります。近年では、病院でも点滴や栄養剤による経管・経腸栄養より、食べ物から栄養をとる経口栄養へ早めに移行するための治療方針に変わってきています。
このように、丸ごと食べる「一物全体食」は、私たちに必要な多くの栄養を取り入れるためにとても大切なことといえます。
台所から考える「食品ロス」
ここ数年で
「食品ロス」という言葉を目にする機会が多くなり、関心を持つ人が増えています。
日本国内では
年間約643万トンもの食べ物が捨てられており、そのうち
約半分は家庭から発生しています。主な原因は、「食べ残し」「直接廃棄(手つかずのまま廃棄)」「過剰除去(皮の剥きすぎなど)」。
食材を無駄なく使いきることは、食品ロスを減らすことに繋がります。
【参考】農林水産省・環境省(平成28年度推計)
大根を丸ごと使ったレシピ
大根の菜飯
-材料(2人分)--
玄米ごはん:茶碗2杯分
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大根の葉/皮・面取りの残り等:100g
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ちりめんじゃこ:30g
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輪切り唐辛子:少々
-
ごま油:大さじ1
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醤油:大さじ1〜
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みりん:大さじ1/2
-
塩:小さじ1/2
-
白ごま:適量
-作り方--
大根は細かく刻んで塩をふり、しばらく置いて水気を切ります。
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ごま油でちりめんじゃこをゆっくり炒め、唐辛子と大根の葉等を加えてさらに炒めます。
-
醤油とみりんで味を調え火を止めます。
-
玄米ごはんに混ぜ合わせます。
-ポイント--
余りがちな大根の葉や皮、面取りした残り等を使用したレシピ。大根の栄養を余すことなくいただけます。
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玄米の胚芽や表皮には、ビタミン、ミネラルなど人間に必要な40種類以上の栄養素をはじめ、食物繊維、イノシトール(IP6)、フェルラ酸、γ‐アミノ酪酸(ギャバ)などのさまざまな健康成分が含まれています。
ふろふき大根
-材料(2人分)--
大根:輪切り2切れ
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根昆布:1/2本
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大根の茎:5p
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【練り味噌】
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味噌:大さじ2
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みりん:大さじ1
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酒:大さじ1
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元氣糖(粗製糖):大さじ1
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柚子の皮:少々
-作り方--
大根は面取りをして下煮します。
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鍋に根昆布をしき@の大根をひたひたの水で柔らかくなるまで煮ます。
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練り味噌を作る。練り味噌の材料を全部合わせ、焦げないように加熱します。
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大根の茎はさっと茹で細かく切る。柚子の皮は千切りにします。
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煮た大根の上に練り味噌をかけ、"4"を飾ります。
大根サラダ
-材料(4人分)--
大根:300g
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さしみ昆布:5cm角1枚
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にんじん:20g
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小ねぎ:約4本
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かつおぶし:5g
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【A】 -
醤油:大さじ1(〜3)
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酢:大さじ3
-
ごま油:小さじ2
-作り方--
大根とにんじんは千切りに、小ねぎは4cmくらいに切ります。さしみ昆布は少量の水で戻します。
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【A】を合わせて"1"を和えます。皿に盛り、かつおぶしをかけます。
-ポイント--
大根に含まれる酵素"ジアスターゼ"はでんぷんを分解する働きがあります。生で食べると働きが活発になり胃もたれを解消したり、胃の粘膜を守って潰瘍の修復にも役立ちます。
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大根にはビタミンCが多いので、切ってからは水につけない方がCの損失が少ないです。
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かつおぶしの代わりに、ごま、くるみ、松の実などをかけてもおいしいです。
大根の甘酢漬け
-材料(4人分)--
大根:150g
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ゆずの皮:1/4〜1/2個分
-
塩:小さじ1/2
- 元氣糖(粗製糖):大さじ1/2
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酢:大さじ1
-作り方--
大根は、薄いいちょう切りにします。ゆずの皮は千切りにします。
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"1"をボールに入れ、調味料を加えて混ぜたら重しを乗せて30分〜1時間ほどおきます。
-
水気を軽くしぼってから器に盛り付けます。
丸ごと食べる「一物全体食」の考え方を取り入れて、今まで捨てていた部分を上手に活用し、たっぷり栄養を取って、おいしく無駄のない健康的な毎日を送りましょう。
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