玄米酵素

食改善を推奨する医師・医療従事者へのインタビュー

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「6スポット療法」と冷えの改善で不調に悩む人を元気に。

青山セントラルクリニック 院長
田井 真愛 先生

「6スポット療法」と冷えの改善で不調に悩む人を元気に。

頭痛、肩こり、睡眠障害、冷え症…。どう対処したらよいか、わからないまま悩んでいる方は多いのでは?そんな慢性的な体の不調を鼻と喉への「6スポット療法」で改善へと導いているのが、田井真愛先生だ。田井先生は、千葉県にあるお父様開業の診療所とご自身が院長を務める品川区のクリニックを行き来しながら、地域医療に貢献している。「6スポット療法」とはどのようなものか。どんな効果が期待できるのかなど、先生に伺った。

父の恩師開発の「Bスポット療法」を更に発展させた「6スポット療法」

鼻の奥から喉にかけてのエリアを鼻咽腔(上咽頭)といいますが、そこがさまざまな病気の火種となっているのを発見されたのが、東京医科歯科大学名誉教授の堀口申作先生です。先生は子どもの頃から体が弱く、風邪を引く度に鼻や喉の症状に悩まされていたといいます。その影響から、医師を目指す際に耳鼻咽喉科を選択。医局に勤めていたある日、いつもの喉のイガイガを先輩に相談したところ、塩化亜鉛溶液が効くと聞き、上咽頭に噴霧してみたところ、強い痛みはあったものの、その刺激に手応えを感じたと。それ以降、風邪を引いている人に実験台になってもらい、その効果を確信するまでになり、現在のような咽頭綿棒による上咽頭擦過療法、すなわち「Bスポット療法」が確立されました。BスポットのBは、「鼻咽腔」のイニシャルです。

その堀口先生の下で医局に勤めていたのが、私の父でした。Bスポット療法による効果を目の当たりにしてきた父は、1971年(昭和46年)に千葉県で開業してBスポット療法を行っていました。しかし、Bスポット(鼻咽腔)だけの治療では良くならない患者さんがいて薬剤を塗布する範囲を広げてみようと考えたそうです。患者さんが訴える症状に合わせて塗布する場所を探っていくうちに、対応する6つのスポットが明らかになり、「6スポット療法」と名付けたのです。

6スポットとは、@鼻粘膜全体 A耳管咽頭口 B蝶篩陥凹 C鼻咽腔D扁桃 E喉頭で、鼻の入口から喉までです。ここを薬剤をつけた綿棒で擦過することで、頭痛や肩こり、睡眠障害、といった体調不良にも効果を発揮します。この6箇所は、スポットといっても小さなポイントが6つあるわけではなく、エリアで境界もはっきりしていません。しかし、症状に対応するスポットを薬剤をつけた綿棒で擦過することで、腫れていた粘膜が正常なキリッとした粘膜になっていきます。粘膜が引き締まることで、鼻の詰りが取れ、呼吸しやすくなって、正常な機能が発揮できるようになるわけです。


鼻から喉までのエリアに6スポットの危険地帯があります。慢性の不調のある方の多くは、ここに炎症が見られます。

鼻や喉の炎症の元凶は口呼吸、年代を問わず口呼吸の人は多い

最近は口呼吸の人が増えていて、呼吸は口でするものと思っている人が若い方ほど多いようです。しかし、本来呼吸は鼻でするもの。鼻には鼻毛が生えていて、空気中に含まれるチリやホコリ、花粉、細菌やウイルスといった異物を体内に入れない役割を担っています。もちろん、すべての異物を鼻毛で除去できるわけではなく、鼻腔の粘膜まで到達したものはそこで処理をして、喉へと送り出されるわけです。

患者さんの中には、鼻の入口から腫れている人、あるいはアレルギー性鼻炎の人が多く見られます。「アレルギーの鼻ですね」と言うと、本人が驚かれるなど自覚していない人が多い。自分の鼻しか知らないので、これが普通だと思っているわけです。しかし、鼻に炎症があると呼吸がしづらく、口呼吸になり、それが習慣化してしまいます。

口呼吸では、吸い込んだ空気と一緒に、細菌やウイルスなどの病原体を直接取り込むことになり、免疫機能を担うリンパ組織が戦い続け、疲弊していきます。すなわち、免疫力が下がり、さまざまな病気を発症する要因になります。また、口呼吸は浅い呼吸になってしまうため、酸素量も十分ではなく、呼吸筋も育 ちません。更に、呼吸で自律神経を整えていますので、自律神経が乱れるとだるくて朝起きられない、体力がもたない、めまいが起こるといった不調の要因にもなります。喉の慢性炎症の元凶のひとつは、口呼吸です。口周りの筋肉を鍛えて、しっかり閉じ、鼻で呼吸をしましょう。

治療は鼻だけ喉だけでは限界がある、東洋医学的な視点も必要

鼻・喉・耳を普段診ているわけですが、鼻は腸と、口は胃・腸と関係しているなど、体はすべてがつながり関係し合っています。そのため、患者さんの不調を治すには、鼻だけ喉だけを治療していたのでは限界があると感じています。ある患者さんは、右の鼻、右の喉、右の舌が痛いと言うので、舌を診ると胃が悪く感じられたので、胃の漢方薬を処方したら良くなりました。漢方は医学生時代から学んできましたし、食事や呼吸法、マインド(意識)にも興味を持っています。今の医療は多くの診療科に分かれ、分業体制をとっていますが、そこだけを診ていたのでは、患者さんが健康的な生活を送るには足りないのではないか。西洋医学による標準治療はベースですが、人を丸ごと診る東洋医学的な視点も必要だと思います。

通常耳鼻咽喉科では、外来の診療の処置はスプレー程度で、あとは飲み薬で治す、という傾向にあります。そういう意味では、「6スポット療法」は、標準治療とは異なるのですが、私自身、薬をあまり使いたくないのと、患者さんも同様に考える方もいますので、それに応えるにはいろいろな視点で診ていく必要があると 思っています。それと、千葉の診療所では、母が小児科・眼科・心療内科医をしています。脈診や漢方の処方も行っていて、やはり東洋医学的な全身を診る視点が必要だというのも、両親から学びました。実際、目と鼻は近いため、視力低下や飛蚊症、糖尿病網膜症で来られる患者さんに鼻の治療を行うこともあります。

大事なのは「冷え」の改善、食材の見直しや温熱療法も

最近は体が冷えている患者さんがとても多くみられます。自分では冷え症だと思っていなくても、手足が冷たい、お腹が冷えている。更年期の方はホットフラッシュで暑いと言いますが、実は足が冷えていたり…。むくむ、足がつるというのも、冷えから起こります。冷えとは血流が悪いということ。 血流が悪くなると、酸素や栄養が行き届かなくなり、老廃物の排出も滞り、さまざまな不調が現われます。不調のある人は、まず冷えの改善を。体温を上げて、血流を良くすると、免疫力も上がってきます。

冷えを改善するには、常温以上のものを食べる、体を温める食材をとる、腸内環境を良くする、適度な運動をする、入浴で体を温める、などが効果的です。食材に関しては、根菜類などの寒い時期に旬を迎えるものは、体を温める作用をもつものが多く、特に生姜は抗炎症作用もあるのでおすすめです。逆に、トマトやキュウリ、白砂糖、乳製品、小麦粉などは体を冷やします。発酵食品や食物繊維、オリゴ糖は腸内環境を整えるので積極的にとりたい食品です。

温熱療法もおすすめです。千葉の診療所では、カプセル型の機械に全身を入れて、遠赤外線で10分温める療法と、仰向けに寝て首や腰などに小さいマットをあて、遠赤外線で足の方から温めるものの2種類を行っています。品川区のクリニックでも同じ機械ではありませんが、光を使った温熱療法を行っています。冷えがあると、体にいいものを入れても吸収できず、腸内環境も良くなりません。体の不調には、まず冷えを治すことが大事です。


鼻・喉を治療するネブライザーの他、冷えなどを改善する治療器や聴力検査室がある(青山セントラルクリニック)

倦怠感やブレインフォグ…コロナ後遺症が軽快も

コロナ禍となり、最近は後遺症に悩む初診の方が毎日のように来られます。症状で最も多いのが、倦怠感。そして、後鼻漏、頭痛、ふらつき、ブレインフォグ(頭がボーッとする)、集中力の低下、食欲不振、不眠などです。こうした患者さんは、やはり体が冷えていることが多く、温熱療法や鼻の治療をします。鼻、鼻咽腔から扁桃腺など6スポットすべてに炎症がある方が多く、1回の治療で症状が軽快する方もいます。もちろん、時間のかかる方もいますが…。治療と同時に「玄米酵素」もおすすめしています。玄米食3食分の栄養がとれるので、1日6袋以上を目安にF100をすすめています。調子が良いと患者さんからは好評です。コロナ後遺症の方には、腸の炎症があると思われるので、腸内環境を整える「玄米酵素」はいいと思います。

「今がいちばん調子いい」命輝かせる人を増やしたい

コロナ後遺症の方だけでなく、喘息やアトピー、関節リウマチなどの自己免疫疾患や膠原病、自律神経失調症や不定愁訴なども、「6スポット療法」で改善したケースがあります。関節リウマチは慢性アレルギー疾患なので、鼻が関連しています。慢性の鼻の炎症を取ることが、関節にもいい影響を与えるのだと考えます。必ず治るとは言えませんが、試してみる価値はあると思います。また、どういう機序(しくみ)で良くなるのかは正直分かりませんが、てんかんの回数が減ったという症例もあります。

90歳近い患者さんで、もう40年近く通って来られている方がいます。通院前は年に10回以上メニエール病で入院していたとのことですが、治療を始めてからは徐々にめまいもなくなり、今では入院することもなく、元気になられています。治療は根気が必要ですが、高齢の方でも、長年の炎症を徐々に取っていくことで「70年生きてきて、今がいちばん調子いい」と言う方もいます。

軽度なものでも長引く体の不調は、生活の質を低下させる大きな原因に。不調を改善し、健康を取り戻すための一助に「6スポット療法」がなれれば幸いです。命輝かせる人を増やしたい。そう意図しながら治療にあたっています。


黄色の診療ユニットは、患者さんに少しでも明るい気分になってもらうために(青山セントラルクリニック)

Profile

田井 真愛(たのい・まさえ)
千葉県生まれ。2003年帝京大学医学部を卒業。卒業後、東京医科歯科大学附属病院耳鼻科に入局。2005年埼玉県立がんセンター頭頸部外科へ。2006年狭山病院(現・さやま総合クリニック)耳鼻咽喉科に勤務。その後、草加市立病院耳鼻咽喉科等を経て、2011年4月より田井耳鼻咽喉科アレルギー科に勤務し現在に至る。2012年からは品川区にある青山セントラルクリニックの院長も兼務している。

田井耳鼻咽喉科アレルギー科
青山セントラルクリニック


■田井真愛先生の著書をご紹介

『頭痛、肩こり、睡眠障害を改善する 6スポット療法』
幻冬舎 1,430円(税込)
鼻と喉の炎症がいかに体に悪影響を及ぼすか。そのメカニズムや鼻の機能、鼻呼吸の重要性などを分かりやすく解説。「6スポット療法」による治療の詳細は元より、実際に体の不調が改善した患者さんの症例も多数掲載。不調に悩む方にはおすすめの一冊。
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