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食改善を推奨する医師・医療従事者へのインタビュー

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生活習慣の改善指導と独自の「目の綜合医学」で難病治療に挑みます。

回生眼科 院長/日本綜合医学会 副会長
山口 康三 先生

生活習慣の改善指導と独自の「目の綜合医学」で難病治療に挑みます。

目の病気は多々あるが、緑内障、黄斑変性症、糖尿病網膜症などは、現代医学では治癒はなかなか難しいとされている。これを30年も前から、食事や運動、睡眠といった生活習慣の指導を中心に、「目の綜合医学」で治癒へと導いてきたのが、回生眼科の山口康三院長だ。回生眼科には、日本全国、そして海外からも患者さんが訪れる。失明寸前で来られる方もいる。初診の際は3時間かけて病気の原因を探るという山口院長に、目の病気と生活習慣の関係などについて伺った。

体の中で最も進化した精密機器 目の健康に大切なのは「血流改善」

 目は、私たちの体の中で最も進化した器官であり、高度に分化した精密機械ともいわれています。それゆえ、体の不調の影響を受けやすい器官でもあります。現代医学(西洋医学)では、目と全身の関係をあまり重視していませんが、東洋医学では目は全身に張り巡らされた経絡(生命エネルギーの通り道)と関係が深く、体調の変化は目に反映されやすいと考えられてきました。

 病気になると、体はさまざまな代謝異常をきたし、血液循環の悪化や免疫の低下などが起こります。そうした体の異常はほとんどの場合、悪い生活習慣に起因しています。目の病気も同様です。生活習慣病の代表格に、血液がドロドロになって起きる動脈硬化がありますが、緑内障や白内障、黄斑変性症などの患者さんの目の血管を調べると、やはり血液循環が悪く血液がドロドロしています。目は外界を見るものですが、体の内部をも見せてくれるダブルウインドーです。

 目の病気改善・予防に最も大切なのは、血流を良くすること。そのための生活改善ポイントは、「食事」「運動」「心」「睡眠」の4つです。食事は、@玄米・菜食を中心にしてA良質なものを少しだけB夜食・間食をやめて、腹八分目に。そして朝食を抜く。運動に関しては、@なるべく歩くこと。1日1万3千歩以上が目安A柔軟性、持久力、筋力のバランスが取れた運動をする。

 歩くことの最大の目的は血流促進です。全身の血流を良くする鍵となるのが、ふくらはぎなどの筋肉です。血液は心臓から送り出され、動脈を通って全身に運ばれ、静脈から心臓に戻ります。この血液循環を担っているのが心臓のポンプ作用ですが、心臓に戻る血液は重力に逆らって流れなければいけません。これはとても大変なことで、これを助けているのが、ふくらはぎなどの筋肉によるポンプ作用です。つまり、歩く動作は、下肢の血液を引っ張り上げ、全身の血液循環を促進する働きをしてくれているのです。

 速く歩く必要はありません。気持ち良さを感じるくらいのゆっくり歩きで、1万3千歩以上を1日3〜4回に分けて歩くのがおすすめです。心身のストレス解消や免疫力を高める効果もあります。

玄米の良さは自らの体験から 1日1万3千歩は患者さんが実証

 食事は玄米・菜食を基本に指導していますが、玄米の良さを知ったのは、家内の祖母がきっかけです。祖母は、戦後の欧米化した食事により、高血圧・糖尿病になってしまいました。西洋医学では治らず、食事療法を行っている馬淵通夫先生や東城百合子先生のところに勉強に行き、玄米・菜食により高血圧も糖尿病も治りました。

 元々私は西洋医学の内科医で、糖尿病患者さんの食事指導もしていましたが、当時同じ食事をしてみたところ、あっという間に太ってしまいました。それを家内の助言で玄米・菜食に変えたら、半年で元に戻りました。さらには、体調がどんどん良くなり、若かった当時より今の方が元気なくらいです。

 すでに3000人以上の患者さんを診てきましたが、その経験からいうと、歩く歩数は1日1万3千歩以上が目安です。ある患者さんは、贅を尽くした食事で糖尿病になり、糖尿病網膜症も発症し、失明寸前で当院に来られました。初診時は顔色も悪く、今にも倒れそうな状態でした。ところが、「少食と毎日の歩行1万3千歩以上を基本に」とお話したところ、少食に加え、なんと1日に3万歩も歩かれ、3ヵ月後には10・0%もあったHbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)が7・0%に下がりました。8ヵ月後にはその数値が基準値を下回る4・9%にまで下がり正常になったのです。糖尿病の治癒とともに網膜症も改善しました。この方は今も1日2万歩くらい歩いているそうです。通常、2万歩くらい歩くと、1ヵ月ほどで目の病気は改善されてきます。

最近は視力の出ないお子さんが多い 東洋医学では病気にしないのが名医

 当院には、近隣のお子さんも来られますが、最近はコンピュータゲームや携帯ゲームのやり過ぎで、視力の出ないお子さんが多く来られます。目が疲れ切ってしまって、視力が出ないのです。目に異常があるわけではないので、テレビやコンピュータゲームをやめれば治ってきます。20代の方でも、今は「スマホ老眼」が流行っています。やはり目を酷使しているわけです。

 目だけではありませんが、患者さんは一般に病気のことをよく知らない方が多いと思います。当院に来られる患者さんも、私の説明を聴いてはじめて病気のことが分かったという方が多い。やはり生活習慣に関係する病気は、よく知り自分で治すという意志がないと治りません。

 西洋医学では、不調があっても“病気”に進むまでは、「様子を見ましょう」といわれます。ところが、東洋医学には“健康”という概念がありますから、病気未満の「未病」の段階でも治療することができるのです。本当はこの段階で治療すれば治りやすいのです。東洋医学では、患者さんを病気にしない医者が一番の名医で、病気になってから治す医者はやぶ医者だと。西洋医学を嫌っているわけではありません。いいものは取り入れながら、やはり予防≠広めていきたいと思います。

Profile

山口 康三(やまぐち こうぞう)
神奈川県生まれ。1981年に自治医科大学医学部を卒業。横浜市立市民病院、神奈川県立厚木病院、神奈川県立藤野診療所勤務を経て、1991年に回生眼科を開院。日本東洋医学会専門医、日本綜合医学会副会長、血液循環療法協会顧問を務める。食事や運動、睡眠などを綜合的に対処する治療法「目の綜合医学」を考案し、確立。著書に『ほんとうは治る防げる目の病気』『緑内障、黄斑変性症、糖尿病網膜症を自分で治す方法』などがある。