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食改善を推奨する医師・医療従事者へのインタビュー

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健康は「引き算」から。
食事療法を中心に一人一人に合った治療を。

ゆいクリニック 院長
由井 郁子 先生

健康は「引き算」から。
食事療法を中心に一人一人に合った治療を。

小児科・内科医として長年患者さんを診てこられた由井郁子先生。先生のクリニックのホームページを拝見すると、馴染みのない代替医療の療法がズラリと並んでいる。「オーソモレキュラー医学に基づく栄養療法」「ホモトキシコロジー」「活法整体」「波動機器」…。西洋医学と東洋医学(漢方)をベースに、これら代替医療の長所を取り入れ治療を行っているという由井先生。どんな経緯でここにたどり着いたのか。先生の治療に対する考え方などを伺った。
(はい!元氣らいふ2020年3月号より)

自らの体調不良をきっかけに、代替医療による治療法に出会う

専門は臨床ウイルス学です。かつては医師の典型ともいえる超多忙な生活を送っており、欠食や暴飲暴食など食養とはほど遠い毎日でした。そんな中、3・11の災害が発生。その数日後から、起き上がれないほどの体調不良に陥ってしまったのです。診療するのもやっとの状態。その時ある獣医師の方から、整体の先生を紹介していただきました。

肘井博行(ひじいひろゆき)先生といって、古武術をベースにした「活法整体」やエネルギー療法を行っている先生です。かつてプロ野球の桑田真澄投手が古武術で投法を変え復活したと知り、古武術には元々興味があったので肘井先生の施術を受けながら、活法整体やエネルギー療法、催眠療法を学び始めました。肘井先生のセミナーで疋田一直(ひきたかずなお)先生に出会い、先生は長年空手、合氣、ヨガ等の武道を極めて古武術もとりいれた方なので、疋田先生にも、合氣道やエネルギー療法などの施術を習いました。

肘井先生の勉強会では、多くの方との交流があり、治療に役立つ様々なことを学びました。人間の体というのは、化学的な方法とエネルギー的な方法の2種類で情報交換がなされています。化学的な情報伝達はホルモン類等が担っていますが、エネルギー的な情報伝達は人間の心や意識が大きく関与しています。トラウマなどで心(=エネルギー的な情報の流れ)がブロックされていると体が治癒に向かっていきません。現代において、健康になるには、肉体の他に心、魂のケアも必要であることも学びました。

現代人は新型の栄養失調、健康への道は「引き算」から

クリニックに来られる患者さんは、子供とお母さんの他、最近はホームページを見た大人の方が増えています。お母さん達は自分の体のことは後回しにするので、慢性的に疲れていて、殆ど半病人です。血液検査の結果では、ビタミンB、Dなどのビタミン不足、鉄・亜鉛を始めとする必須ミネラル不足で、まさに新型の栄養失調という状態です。有害ミネラルの水銀、ヒ素なども体内に蓄積しています。

これは、私たちが食べている食材が第一の原因です。やせた土地で化学肥料を使い、農薬をまいて育った食材は、有害物が多く栄養が少ないのです。

医聖ヒポクラテスの言葉に「腸から全ての病気が始まる」とありますが、まさにその通りだと実感しています。食材では小麦、乳製品、砂糖、薬では抗生剤やステロイド、消炎鎮痛剤などの多用が「リーキーガット」(腸に穴を空け、腸壁の機能を壊す)を引き起こすと考えられています。これらの様々な複合汚染で病気が形成されていきます。

砂糖は、腸内にいるカンジダというカビを増やします。増えたカンジダは、腸壁にへばりついて穴を空け、腸壁の機能を壊します。腸壁ではいろんな栄養素を分解・吸収しているのですが、例えば、たんぱく質が不消化なまま血中に入ってしまうと、自己免疫疾患や食物アレルギーなどの原因になります。またこのカンジダは、穴を空けるだけでなく、カビ毒も出すというやっかいなもの。うつや体全体の不調の原因にもなります。駆逐するのが難しいため、まずは砂糖をできるだけ控え、抗生剤やステロイドなども必要最低限の使用を心がけることが必要です。病気治癒のためには、まずは有害なものを抜く「引き算」から始めなければいけません。

食事は和食を基本に発酵食品も

代替の砂糖として使っていいとされているのは、ステビア、ラカントS、キシリトールです。てんさい糖やはちみつ、メープルシロップも副腎疲労などの合併がない限り、これらの使用も控えることがリーキーガットを治す必須条件となります。はちみつは、砂糖を混ぜたものや、農薬の混入があり注意する必要があります。

食事に関しては、砂糖、小麦、乳製品を除去することは必要です。すなわち、和食にして、有機の野菜、根菜類をとる、大豆製品なら発酵している納豆や味噌などがお勧めです。やはり酵素は必要なので、酵素のとれる発酵食品や食物繊維、ワカメや海藻類もとりましょう。「まごわやさしいこ」(まめ・ごま・わかめ・やさい・さかな・しいたけ・いも・酵素)が基本。ナッツ類もビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富なのでお勧めです。

よく、私たちの体は食べたものでできている、といいますが、正しくは、We are what we digest.(digest=消化する)。つまり、食べただけではなく、消化してはじめて体に吸収され、この消化も私たちの消化液だけではなく、腸内細菌が食品を食べて産生したもので消化、吸収をしているのです。まさに腸内細菌様々であり、腸内細菌を育て、元氣にする食品を私たちが摂取することが重要です。先にお話ししたカビには、アロマオイルが有効です。腸を健康にするために、まずは引き算から始めていただき、必要に応じて足りない栄養素をサプリメントで補う。そして、アロマオイルや活法整体の施術、波動機器を使い、患者さん一人一人とその環境に合わせた治療を行っていこうと考えています。

Profile

由井 郁子(ゆい いくこ)
長野県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。横浜市立市民病院、川崎市立川崎病院、済生会神奈川県病院などに勤務。2009年に神奈川県川崎市でゆいクリニックを開業。日本小児科学会認定小児科専門医。日本東洋医学会認定漢方専門医。米国NLPプラクティショナー。点滴療法研究会マスターズクラブメンバー。日本オーソモレキュラー医学会会員。日本抗加齢医学会会員。腸内フローラ移植臨床研究会正会員。