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食改善を推奨する医師・医療従事者へのインタビュー

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統合医療の医師が語る「食事で治せない病氣は医者でも治せない」

内科医・産業医
池田 和子 先生

統合医療の医師が語る「食事で治せない病氣は医者でも治せない」

自然治癒力にアプローチし、その人本来の健康を取り戻す全人的医療を得意とする池田先生は、病氣や不調そして症状は身体からのメッセージと考え、症状をなくすだけではなく、その背景にある根本原因を解明する診療を心がけている。

病氣はその人に変化を促す機会であり、自己成長のチャンスととらえ、病態の上流からアプローチする根本治療を信条とする池田先生に、医師としての在り方を見つめ直すきっかけとなった体験を語っていただいた。

『輝(かがやき)』58号(2022年7月20日)掲載/発行:一般財団法人 食と健康財団

母として、医師として

「食事で治せない病氣は医者でも治せない」、この言葉を残してくれたのは医学の父とも呼ばれているヒポクラテスです。

私はこの言葉を医者になってから知りました。
病氣は薬や手術などの治療で治るものと信じて疑っていなかった学生時代に、この言葉に触れることはありませんでした。

医師になってからもしばらくはこの言葉を知ることはなく、知るきっかけになったのは私自身が心と体を壊してしまい、病氣という状態を招いてしまった時でした。

女性のいわゆる月のものが遅れてしまうことはこれまでも何度かあり、病院で忙しく仕事をしていると、なければないでスルーしていたのです。



当時の業務は私にとってハードでストレスの多いものでした。そのため私は食べることでストレスを解消し、胃袋に何かを満たすことで不満が満たされていると錯覚していたのでした。

空腹になるとなんとも言えない気分不快があり、何かを食べると解消されることが続きました。
ストレスで過食症にでもなったのかと思いましたが、過食症は私の誤診でそれはなんと妊娠でした。

食べつわりというのがあるのかどうか、産婦人科の先生に怒られそうですが、とにかく食べていないと落ち着かないことが続きました。



この時、妊娠出産によって人生最高記録の体重を記録してしまいました。
初めての母子手帳に押されたのは“体重増加注意”のスタンプ。

診察のたびに増える体重に怒られながらなんとか出産できたものの、出産後に体重が全く変わらないのです。
出産した分減ると思いきや、入院時と退院時とほとんど体重が変わらないことに、なんとも言えないショックを受けたことを覚えています。

重いのは体重だけではなく、実は心にも重い何かがあったのでした。
初めての子育て、仕事を続けたいのに思うように出来ない状況、このまま自分のキャリアは終わってしまうのかという恐怖などが押し寄せ、泣いている赤子の横で一緒に泣いている私がいました。

体重の増えた重い身体は、単純な動きさえも億劫にしてしまい、心までも重くするのでした。

「あー、一体どうしたらいいのだろう」、「どうしてこんなになってしまったのだろう」、「体重が増えて動きたくない身体を、どの科が診てくれるというのだろう」。
鬱々とした氣持ちを持ちながらも、どうすればいいのか、泣いている我が子と泣きながら考えました。



「あー、これがもしかしたら産後うつというのかな」と、まだ客観的に捉えることができていました。
鬱だとしたら心療内科や精神神経科になるのかなと考えていたところ、ふと我にかえったのでした。

「受診しても治るわけではない」
「この大きくなった体を治す薬なんてない」

そんなことを考えていたら、さらに「あー私はこれまで、一体病院で何をしていたのだろう」と・・・。
薬を処方して治していたと思っていたのでした。

その時、何かが崩れるような感覚が確かにありました。
食べすぎて、こんなに大きくなってしまったのだから、その食事を治さなくてはいけないとすんなりと思えたのでした。(素直なのか単純なのか・・・)

よし、食事を変えよう!そう決意したものの、さらに衝撃が走ったのでした。
「私は食事や栄養のことを何も知らない・・」

そうなのです、医学部では食事や栄養について学ぶことはなかったのです。
病氣は食事が治すのではなくて、薬や手術などの治療で治すものと教えられてきたのです。



なんでもそうですが、物事には原因というものがあります。その原因を正さなくては、解決しません。

増えた体重、身体が重くて動けなくなり、心まで重くなり鬱々としてしまったのは「食べ過ぎ、食事」が原因の一つでした。

食事が原因であるならば、その原因を正せば良いのです。こうして私の食事療法、栄養療法は始まりました。

食事療法・栄養療法を通して

栄養療法を学ぶことを機に、いわゆる西洋医学と対局にある医学や代替医療と呼ばれるものを学ぶ機会に恵まれました。
同じ医療、同じく人を診る分野にもかかわらず、捉え方や考え方の違いにとても興味を覚えたのでした。

いわゆる代替医療と呼ばれる分野には、様々な治療法やメソッドがあります。どれも効果的であるから伝承されていると思いますが、ある時「これって一体・・・」と思うことがありました。
「A療法を勧める人たちはB療法に批判的で、Cメソッドは〜」と他の治療法について否定的な見解を耳にするようになったのです。



効果があると思う治療法を勧めるのはもっともです。
そして患者さんが良くなっていなければ、それはその患者さんには効果がないと認めなくてはなりません。

人は一人一人指紋が違うように治療の効果にも違いがあります。
他の治療法をああだこうだと批判するならば、効果のある方法を考えればいいのです。

実は一時期、アンチ西洋医学になっていました。薬なんて飲むものじゃないとすら思ったこともありました。

西洋医学、西洋医療以外の分野でも、「あんな治療は受けるものじゃない」などという否定的な言葉を聞くと、では一体どうすればいいのか?とさらに疑問が湧くのでした。

そして、原点に戻ってみました。そもそもどうして医者になろうと思ったのか。医者として何がしたいのか。



「人体の仕組みを知りたい」、「目の前の患者さんが健康で幸せになるサポートをしたい」、目の前の患者さんが良くなってくれるなら、西洋医学だろうと東洋医学、代替医療だろうと、なんでもいい、どちらでもいい・・・ちょっと乱暴に聞こえるかもしれませんが、当時はそうシンプルに思えたのでした。

そして、それぞれの良いところを統合して提供すればいいのです。
患者さんひとりひとりにとって最善の方法を、医師として考えサポートすればいいのだと思えたのでした。洋の東西を問わず、洋の東西のいいとこ取りの統合医療を中心に据えていこうと決めたのでした。

その中でも特に効果があるのは、食事です。何を体に入れるかは、本当に大事です。

いい加減なものを入れていたら、いい加減な体になります。不自然なものを入れていたら、不自然な体になります。不自然な体・・・それは不健康な体といっても良いでしょう。



人は自然の一部です。人は自然に生かされているのです。不自然なものを食べるだけではなく、不自然な生活をしていても健康を害します。

自然に沿った生活が最も健康に近づく方法なのでしょう。

生活習慣病と食事

生活習慣病と言われてどんな疾患を思い浮かべるでしょうか。高血圧症、糖尿病などがあります。
糖尿病はまさに生活習慣病を代表する疾患です。そして食事が大いに関係しています。
食事を変えると体が変わり、病氣も改善することを多くの患者さんから教えられています。 



暑くなってくると、水分摂りましょうと言われるため、しっかりと水分補給をしていた患者さん。しかし、結構な糖尿病を発症してしまったのでした。
これは補給する水分に問題がありました。人工甘味料や糖類が多い経口補水液だったのです。

また、こんな方もいらっしゃいます。趣味は山登りでそのために普段から散歩を欠かさない患者さん。運動量はそれなりにあるのに、データが悪くなってくる。
薬を増やしても改善傾向が見られない。その方も運動後に飲むのはスポーツドリンクと呼ばれるものでした。飲料水は簡単にそして体内に入ってくるので、注意が必要です。

ある方は、一人暮らしをきっかけに料理をほとんど作らなくなり、朝は菓子パンがメイン。夜も適当に済ませている。何を召し上がっているか質問しても、そもそも食事内容に興味がないので覚えていない、答えられないという状況した。

適当でいい加減なものを体に入れていると、体はどうなるでしょう。もし誰かに適当でいい加減な対応をされたら、怒りたくもなりますよね。
体も同じです。体は怒りを病氣発症という形で表現してしまいました。



病氣を起こしてからこれまでの生活習慣を見直すことも可能ですが、病氣で弱った体の時は、氣持ちがなかなか前向きにならないものです。

治療も大切ですが、予防はもっと大切だと痛感せずにはいられません。
先の患者の方々は食事を変えて、データや症状は改善しています。

食事で病氣を起こすこともあれば、食事で病氣が治ることもあるのです。

精巧で精妙な細胞内のシステム

栄養療法を学ぶ上で、体の中で、そして細胞の中で何が起きているのかを改めて学ぶことになりました。

実に精巧で精妙なシステムが私たち人間の細胞では行われています。口にいれた食べ物が咀嚼によって細かくなり、消化器官に運ばれ、栄養を吸収し、全身に送り、いらないものは肛門から出す。
入れて出すまでの過程において、体の中は24時間休むことなく働いています。



自分の体を一つの会社(組織)と見立てたら、その会社のオーナー社長は自分自身です。
会社にはいくつかの部署があり、それぞれ役割があります。そして会社を維持するために働いてくれるのは一人一人の社員です。

体にもいくつかの部署があります。脳、消化管、心臓、皮膚など。そしてそれを維持するために働いてくれるのは細胞や腸内細菌を代表とする微生物です。

社長が社員のことを考えずに、好き勝手なワンマン経営をしていたら、その会社が潰れてしまうのは時間の問題です。
24時間休むことなく働いてくれる体そして細胞たちに何を与えるかは、体のオーナーである自分自身が、体に何を入れるかにかかっています。

つまりどんな食事をしているのかにかかっているのです。体や細胞のことを考えずに、いい加減な食事をしていたら、体が悲鳴をあげるのは時間の問題です。
自分の体を支えてくれる細胞たちに、日々感謝をしてもしきれないと思うのは私だけでしょうか。

細胞内で行われている精巧で精妙なシステム。それを学べば学ぶほど、解らないことがたくさん出てきます。科学で解明できることなんてほんの僅かなのかもしれません。

自然を前にして人間ごときが出来ることなんてほんの僅かなのでは、という思いです。
それは諦めというより、自然に対する畏敬の念からくるものです。



食事の中のひとつひとつの栄養素が、細胞内で精巧な働きをしてくれて生命活動を支えてくれています。
その細胞内で何が起きているのかを学ぶ過程で、この複雑で精巧なシステムは人間が創れるものではないと実感したことがありました。

細胞ひとつ創れない人間がどうしてそのシステムを理解できましょうか。わからないこと、未知なるものが多いのも無理はないのです。
未知なるものが多いかもしれませんが、それ故未来への可能性もあるのです。

あの時心と体を壊すことなく、西洋医学一直線だったら、これほどまで食事の大切さを知ることはなかったでしょう。
そういう意味で壊れて良かったと思っています。「本当なら壊れる前に氣づけ」と、今の私ならあの時の私に言いたいくらいですが。

食べ方は生き方

食事を通して医師としての方向性が変わりました。医師としての在り方が変わったと言っても過言ではありません。

食事によって体が変わるということは、その人の在り方をも変えることになるのです。食事が人生を変える。まさに食べ方は生き方なのです。

1人でも多くの方に医師として食事の大切さを伝えたいと考えています。できることなら壊れる前に氣づく人が増えて欲しいです。

何を食べるか、何を体に入れるかで体は変わります。

さて、今日の食事は何にしましょうか。




【池田和子先生の診療をご希望の方へ】

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保険診療、自由診療ともに提供しておられ、症状に合わせた治療が受けられます。

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一般的な健康診断では教えてくれない、未病を見つける血液検査等の見方のコツ
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Profile

池田 和子(いけだ かずこ)
東京都生まれ、湘南育ち。北里大学医学部卒業。専門は循環器内科、女性医療、産業医。北里大学病院内科研修を経て、平塚共済病院、大和市立病院、北里大学病院循環器内科勤務。出産を契機に女性医療にも従事するようになり、女性専門外来のクリニックなどで、あらゆる世代の女性の心と体の健康問題に取り組む。病気や不調は体からのサインと考え、症状だけをなくすのではなく総合的な健康へのアプローチを目指し診療にあたっている。